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合わせ鏡のアクマ 08 「・・・ねぇ、これでちゃんと放送できてるの?」 「大丈夫だろう・・・たぶん。私も機械にはあまり詳しくないのでな・・・」 「そう、じゃあ始めるわよ。準備はいい?」 「ああ」 「おっけーです」 「ネックと」 「RBの」 「「「ラジオde都市伝説ー!!」」」 「司会進行は私、ネックおばさんと」 「最近看護学校に通い始めた、RBがお送りする」 「いやー、突然始めちゃったこのラジオ番組ですけど。趣旨の説明をRBさんどうぞ」 「この番組は、リスナーから寄せられた質問等に私達二人で答えていくいわえる『メタ』コーナーだ」 「ちなみに電波ジャックの方法だけど、『深夜のラジオ番組に変な声が聞こえる』という怪談に力を借りてるわ」 「どーもー、『ラジオの声』です」 「しかし残念なことに彼女、収録してる我々には声が聞こえないんですよね~」 「まったくだ、本体を探すのに苦労した」 「ちなみに私はいつでもスタジオにいるので気軽に話しかけてくださいねー」 「たぶんリスナーの皆様には『声』が聞こえてるんでしょうね。私達は声を無視しているわけではないですよ」 「なにせ聞こえないんだ、反応しようがない」 「大丈夫ですよー、差しさわりのあることなんて言いませんからー」 「・・・そろそろ始めるか?」 「あ、そうね。始めましょうか!」 * 「まずは最初の質問。P.N『匿名万歳』さんからのお便り 『なんでパー速でやらないの?』 はい、その質問にお答えします!」 「1スレ目の終わり際に、『続行か否か』を皆に問うた時に 『続行』が多かったので、現在パートスレになっている。 その際、一緒に『パー速かVIPか』を聞いたところ、 『VIPがいい』という答えが多数だったのでこういう状態になっている。以上が理由だ」 「このまま続く場合は、またアンケート取るんでしょうかねー?」 「続いては、P.N『通りすがった名無しさん』からのお便り。 『花子と寓話のテラースレだと思った』 はい、これはどうなんでしょうか?」 「以下に読み上げる文章は1スレ目の1のものだ。 1 名前:VIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 23 31 50.48 ID GN1DYnK+O 花子さんとか美少女切り裂きジャックと契約して闇夜を舞いたい 調べてみたところ、その漫画に切り裂きジャックは出てきていないと見受けられた。 さらに、同じようなレスがされたときも1は反応していない。以上からおそらく1はそのつもりはなかったのではないだろうか?」 「ところで、この後1氏は『ウェルカムだ!ようこそミス、メリー!』などと発言していたとの未確認情報が・・・」 「全体に関する質問は、こんなところかしらね?」 「まぁ、我々が答えるのも筋違いというものだが・・・」 「今更何を言ってるのよ。それじゃあ次は私達の話への質問およびツッコミね」 「まぁ、登場人物からしかそんなお便り届かないんだが・・・」 「それじゃあ、いってみましょう!」 * 「それではこの質問、P.N『家政夫は見た!」さんからのお便り。 『アクマの元の都市伝説は願いを叶えるんだろ?契約者の願いどーなった』との質問が」 「あー、それは悪魔の悪知恵に引っかかってるんだ。あいつは強引に 『合わせ鏡の悪魔を契約したい』という願いを引き出したんだ。だから願いは叶えられてることになっている』 「へー、子供っぽくても悪魔ね」 「契約者さん・・・不憫ですねー」 「続いて、P.N『黒色ガーネット』さんからのお便り。 『最初に彼らが戦った花子さんはどんな都市伝説だったんですの?』ですって」 「あー、これは『子供を便器に引きずり込む』話だったようだな。だから契約者は水を避ければよかったわけだ」 「強かったの?」 「そこまで強くはなかったのではないと思われるな。契約したての彼が初めての戦闘で10分攻撃をこらえたわけだしな」 「・・・当時から契約者の身体能力が高かったという見方はしないんでしょうか?私もそれは違うと思いますけどね」 「おっと、次が最後のお便りよ。P.N『無敵のプリンセス』さんからの質問。 『墓場でかかってくる電話が、女の子の声なのは何故?』ですって、書き手の趣味じゃないの?」 「これはだな、元々町中にある墓場の声はすべて違っているという設定があって・・・まぁ、最終的には趣味だな」 「ハーレム系の話とか好きなんですよね。きっと」 「ちなみに、契約者達とよく話している墓場が、一応町の墓場群の中で一番古く、一番格上だ」 「☆型云々の時に、頂点の一つだって言ってましたからね」 「たぶん、墓場の声は今後もでてきてくれるでしょう。ヒロインルートはありえませんけど」 「それでは、そろそろ時間となりました」 「今日のラジオde都市伝説はここまで」 「「「それではみなさん、またいつか!」」」 「あ、ラジオde都市伝説はゲスト募集中です。気軽に参加しに着てくださいね~!」 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
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その5 白い粉の魔力 キーンコーンカーンコーン 授業後の学校 さて、と 俺は今男子トイレの個室にいる。 別にクソがしたいからトイレにいるわけではない。 この前俺は都市伝説「エロ本にバターを塗ると黒塗りが透ける」と契約を交わした。 せっかくお気に入りの1ページを犠牲にして手に入れた力だ、これを有効活用しない手は無い。 俺がいるのは男子トイレ。 つまり、女子トイレの隣というわけだ。 ふふふ...うふふふふ... さて、取り出したるはタッパーに入ったバター。 そしてこれをトイレの壁に塗っていくと...ほら、壁の向こうが透けて見えて...あれ? おっとしまった、うっかり壁を逆と勘違いしてしまったようだ。 逆隣の情報科一年の教室が見えてしまった。 きをとりなおして...おや? あれはたしか2学期から写真部に入ってきた新人君(暫定)じゃないか。 教室に一人きりでなにやらそわそわしているが。 そうか!こっそり教室でエロ本を読もうというのか!なかなか大胆だなぁ彼も。 向こうからこちらは見えないようになっているので気付かれはしない。 どれどれ、同志はどんなエロ本を読んでいるのかな? 鞄から取り出したのは…瓶...か? おいおい、なんだその白い粉は まさかお前… 「-----と、いうわけで、そのときは教室に人が入ってきたので実際に”使った”ところは見ていないわけだけど。」 「まさか、そんな、あの新人君が・・・」 背の小さい、けーちゃんと呼んでいる1年生の女の子が、信じられないといったように首を振った。 あの後、写真部の部室に行ってみたところ、部長、副部長、そして情報科1年生のけーちゃんがいたため、さっき見たことについて相談してみたわけだ。 「麻薬...か。確かに最近高校生にも広まりつつあるらしいからな。」 「でもあんな真面目な子が麻薬だなんて」 「真面目だからこそ、真面目でいる自分に嫌気が差したところに、未知への興味、他人の知らない自分、そんな誘惑に負けてしまった。なんてことはよく聞く話じゃないか。」 「そんな…」 「とにかく、新人君を何とかしてあげなくちゃ。出来れば警察に連絡せずにすむように。」 「麻薬がらみだぜ、連絡しないわけには行かないだろ。」 「でも、まだ”使った”ところを見てないわけだから。もしかしたらまだ一度も”使って”ないかもしれないじゃない。」 「そもそも、その白い粉が本当に麻薬か、という確証も無いわけだしな。まずは真相解明だろう。警察に連絡するのはそれからにしよう。」 「まずは問いただしてみますか?」 「いや、それではシラをきられるだろう。そこでけーちゃん。」 「は、はいっ?」 「ちょっとその瓶を盗んできてくれ、ちょうど同じクラスだろう。」 翌日 「うまくいきますかね」 「けーちゃんしだいだな」 「…なんで二人とも男子トイレにいるんだよ」 「だって心配だもん」 「面倒な役を押し付けた分、見守ってやるべきだろう。」 男子トイレの個室に、3人がぎゅうぎゅう詰めで入っている。 例の能力で壁を透過してある。 今、体育の授業で、教室には誰もいない。そこにけーちゃんが忍び込む。 ちなみに、授業どうしたとか気にしちゃいけない。 新人君の鞄を見つけ、そっとあけると。 中に、白い粉の入った瓶が一つ。 「!あった」 けーちゃんは瓶をポケットに入れ、教室を出ようとしたそのとき 「おい!何してるんだ!」 「まずい!新人君だ!」 体育の授業に出ているはずの新人君が教室に入ってきた。 怪我をしたのか、腕を押さえている。 「僕の鞄に何をしてるんだ!」 「単刀直入に言おう。君の鞄の中の白い粉の入った瓶について聞かせてもらおうか」 トイレから駆けつけた部長が問いただす。 一拍遅れて副部長とスケベが駆けつけ、新人君に迫る。 「なあ、俺達とお前の付き合いは短いけどよ、それでも同じ部員なんだ、正直に答えてくれ。」 「でないと、私達は警察に連絡しなくちゃいけないの」 「う…」 「お願い」 けーちゃんが新人君の手を握る 「本当のことを教えて」 沈黙の時間が過ぎ、彼は重い口を開いた。 「信じてもらえないかもしれませんが、聞いてくれますか?」 3人とも頷く。 「その...都市伝説って...信じますか?」 3人とも顔を見合わせ、なんともいえない表情をした。 「-----つまり、その瓶の中身は小麦粉ってわけか。」 「そうなんです」 彼のした本当の話、それは彼が都市伝説の契約者だということだった。 小学校まで関西に住んでいて、毎日お好み焼きやたこ焼きを食べて育った彼が契約していたのは「関西人の体の半分は小麦粉で出来ている」であった。 「例えば、さっき体育の授業で怪我しまして、それで教室に戻ってきたわけなんですけど、」 彼が腕を押さえていた手を離すと、傷口から血ではなく、白い粉、恐らく小麦粉が出ていた。 「こんなふうに体が小麦粉になっちゃったんです。」 そして瓶を手に取ると、中身を口の中に流し込んだ。 「ンンッ!...クゥッ!...フゥ。で、小麦粉を食べると傷が一瞬で治るんです。」 確かに、見る見るうちに傷口が塞がっていく。 「今軽くキマッてなかったか?」 「気のせいです。」 多少恍惚としながら答えるあたりなんか怪しいのだが、小麦粉だから大丈夫だろう。 「紛らわしいまねしてごめんなさい。でもこんなことが人に知れたらと思うと...」 「いや、私達も無理やりな手段に出て申し訳なかった。」 「疑って...ごめんね。」 けーちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。ちなみに彼女は入部の時点で部長からばれて都市伝説については知っている。 「まあ疑いも晴れたことだし、一件落着だな。」 「そうね。ところで新人君」 「何ですか?」 「これからはコナって呼んでいい?」 「ぇ、あぁ、いいですよ」 「では改めて、これからもよろしく、コナ」 「よろしくお願いします。」 コナは、3人と握手を交わした。 「ふぃー。これにて一件落着かぁー。」 大きく伸びをするスケベの肩に、ポンと手が乗る。 「ところでスケベ、そもそもなんで男子トイレで都市伝説なんか使おうとしたんだ?」 「え、それは」 「反対側は女子トイレだったな」 「え、へ、へぇーそーだったんだー」 「...うん、とりあえず、魂ぬいとこうか。」 カシャッ fin 「ところで、先日のスケベと今回のコナの件で発表しておきたいことがある。」 「何ですか部長いきなり。」 「これで、部員全員が都市伝説関係者、ということになった。」 「...まあ、気を使うことが無くなった、ということにしておきますか。」
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階段を駆け上がる 逃げている…訳ではない 誘い込んでいるのだ 「おらおらぁ!いつまで逃げてんだ!?」 ぞくり 背後から、迫ってくる気配 彼は、振り返ることなく、コーラのペットボトルの蓋を開けた ばしゃり、飛び出たコーラの液体は…背後から迫ってきていたコーラとぶつかりあった びしゃっ…!と、壁にコーラが飛び散る 「勿体ねぇなぁ。おら、さっさと飲みやがれ」 「うん。お断りかな」 にっこり、彼は笑って見せて…走る 向かうは、屋上 そこまで誘い込むのだ 「もう、面倒だぁ。人間相手は」 ぼそり、彼はそう呟く …組織より、始末を依頼された相手 それは、都市伝説と契約した、人間 それも…自分と、ある種近い都市伝説と 「コーラには、コカインが含まれている」 一時期、実しやかに囁かれた噂である 実際の所、昔は実際、そう言う事もあったらしいが、今現在のコーラにはそんな事実はない だが、未だにそれは都市伝説として囁かれているのだ 相手が契約している都市伝説は、それだ 彼を追いかけてくる男が持っているコーラの瓶 そこから溢れ出すコーラには、強い麻薬の成分が含まれている いや、正確に言えば、コーラを「麻薬」に変えてしまう力、と言うべきか あの男は、都市伝説と契約した事により、そんな力を手に入れた そして、麻薬と化したコーラを操り…他人に無理矢理、飲ませる そんな凶行を繰り返していたようだ 直接的な攻撃力はないかもしれないが、人間にとっては厄介な相手である …そして 彼にとっても、厄介な相手であった 自分と同じ、コーラを操る 相手のコーラは麻薬と化しているだけで、彼の操るコーラのような何でも溶かしかねないような攻撃力はない しかし…それでも 相手の能力は、非常に厄介なのだ …彼のコーラは、全てを溶かす 彼が望む物、全てを溶かす ……溶かす、はずなのだ だが、しかし それでも、致命的な、欠点があった …液体は、溶かせない 当たり前だ 元々液体な物を、溶かすことなどできるはずがない たとえ、彼が相手をコーラで溶かそうとしても…相手は、麻薬のコーラを操り、それを防ぐ 何とも、面倒な相手である だからこそ、こんな面倒な戦い方をしなければならなくなったのだ まったく、組織め 彼は、笑顔のまま小さく舌打ちした …あとで、組織の連絡係のあの黒服を弄って遊んでおこう、うん 「ひゃっはーーーぁ!待ちやがれぇ!!!」 迫り来る男 彼も、コーラの麻薬にやられているのだろうか 部分的に、言動がおかしい めんどくさいなぁ、と彼は思いながらも…走り続け ようやく、そこにたどり着いた 廃墟ビルの、屋上 夜空には、星が輝いて…は、いなかった どんよりの、曇り空 この真夜中でも、遠くのビル群にはちらほらと灯りが見える 「…どうせなら、こう言う景色は兄さんと見たかったなぁ」 ついでに、星空も見えていたら完璧だな、と妙な事を考える くるり 彼は、ようやく相手に振り返った ぼろぼろの、浮浪者風の外見の男 手に持ったコーラの瓶からは、際限なくコーラが溢れ続けている ぐい、と 男は、それを口に含んでいた あの、麻薬と化したコーラを飲み続けていたら…確実に、中毒者となっている事だろう うん、と彼は決めた あんな状態になっているのなら、殺してあげた方が親切だよね 何とも勝手かつ理不尽な思考回路にたどり着き、彼はにっこり、笑った 「へへ……っ、ようやく、観念したか」 「観念?」 何の事?と彼は笑ってみせる こぽ、こぽ、と コーラが溢れようとしているペットボトルの蓋を…閉めた 「なんだぁ?やっと観念したのか?」 「ううん、違うよ」 にこにこと、彼は笑う …相手は、わかっていないのだ ぴ、と指を立てて…兄が生徒相手に授業する時の癖を真似てみながら、説明してやる 「あのね、僕のコーラの能力はね…なんでも、溶かしちゃう事なんだよ」 「あぁ、知ってるさ。だから、俺ぁてめぇが散らかすコーラを一切、浴びちゃいねぇだろぉ?」 けらけらと、男は笑う うん、やっぱりわかってない …だから 彼は、とびきり残酷に笑いながら、続ける 「うん、そうだね。だから、僕のコーラは、このビルのあちらこちらにばら撒かれちゃったね」 「俺様のコーラもばら撒かれたがなぁ。飲み物を粗末にしちゃあいけねぇなぁ」 じり、と 男は、こちらに近づいてくる にこにこ、にこにこと…彼は、笑い続けた 「そう…このビルの中の、あちらこちら。全ての階の、壁に、床に、天井に…バラまかれたよね?」 …ぴたり 男が、足を、止めた ようやく、気付いたようだ にんまり、と 彼は、飛び切りの笑顔を相手に向けながら 死刑宣告を、告げた 「だから…今、この状態で。僕が、撒き散らしたコーラでビルを溶かしちゃったら…どうなるかなぁ?」 「………っ!!」 相手が、仕掛けてくるよりも…前に 彼は、それを実行した びしぃ……っ、と、男の足元に、一瞬で亀裂が入る そして…男の姿は、一瞬で、消えた 足場が崩れ、落ちる どこまでも、落ちていく 男が立っていた、場所 そこから下、全てが…コーラで溶かされ、消滅していた 男の体は、7階建てビルの屋上から…地下の駐車場スペースまで、まっさかさまに落ちていき ぐしゃり、潰れてしまった 「死んだかな?……死んだよね」 ちょこん、と あいた穴の傍にしゃがんで見下ろし、彼は首をかしげた うん、多分死んだだろう この高さから落ちて生きていたら、ビックリ人間だ まぁ、都市伝説との契約で、体が強化されている可能性も十二分にあるが… 「ま、いいか。多分死んでるだろうし。死んでなくても暫く動けないだろうし。万が一生きてたら、他の誰かが始末してくれるよね」 楽天的に、彼はそう考えた うん、きっと大丈夫だ 携帯が着信を告げたことを確認し、しゃがんだまま、彼は電話に出た 「はい…うん、始末したよ。多分、死んでるんじゃないかな………え、やだよ。ちゃんと死んだかどうか確認するの。だって、7階から地下1階まで落としたんだから。きっとぐちゃぐちゃのでろでろだよ。そんなの見たくないよ」 電話口から文句が聞こえてきたが、無視する 死体なんて、そっちが確認すればいいのだ 「それじゃあ、僕、兄さんが心配するからもう帰るね………え?ちゃんと心配してくれるよ?だって、兄さん、僕が居ないと朝食の準備する奴がいないから不便だって言ってくれたから」 そうだ 自分は、兄に必要とされているのだ 早く、帰らないと 彼は一方的に電話を切ると、兄の元に帰るべく、さっさと廃墟ビルを後にするのだった fin 前ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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ナタネの事件ですがどうしてナタネが殺したってことになっているのでしょうか? 僕的には森の洋館のポケモン像はダークライをかたどっているみたいでダークライが関連してるのではないかと思います。 家族構成 浦山家 母(誰か) 父(霊) 長男(ウラヤマ) 次男(ポケモン屋敷左側のメイド勝ち抜きのボスのおぼっちゃま) 長女(ナタネ) 次女(霊) と執事やメイドが何人か、、、 家族構成的にも息子2人、娘2人とバランスがいいですし、この事件はダークライが悪夢で殺したんじゃないでしょうか?なので「夢」というキーワードで共通するゲンガーもダブルスロットで出てきますし。イベントでもあるみたいですし。 あと浦山家の母はゲーム中に出てくるキャラクターの誰かなのかも知れません。たとえばカンナギの長老とか あと僕はダークライは2匹いるとどこかで聞きました。あと赤い鎖も関係してるとか なのでこれらを踏まえた内容としては 昔浦山の先祖は2体のダークライを赤い鎖で銅像に閉じ込めた その銅像は子孫に受け継がれ続いた ハクタイの森の奥に住んでいた浦山家と執事とメイド達 家の中には赤い鎖で押さえつけられ石になったダークライ(銅像)が2体ある 誰かが片方の銅像の赤い鎖を誤って取ってしまった 解放された片方のダークライは皆を(昔先祖が閉じ込めた復讐で)殺そうと部屋中を強引に飛び回り各部屋にいる奴らを悪夢で殺した。(家がボロボロになった) 母と長男、長女、次男といくつか執事とメイド達だけはその場から逃げることができた。それぞれ分かれて暮らすことにした。 ナタネは調査、ウラヤマは銅像を守ることを母に指名され(母は不明) 今ポケモン屋敷にある解放されてないもう片方の銅像はまた誰かが赤い鎖を取らないよう警備員が警備している ポケモン屋敷の右側の部屋にはナタネとの今までの成果を話し合った痕跡がある資料と手紙などがある(もちろんメンバーズカードも) ちなみに赤い鎖の破片がダークライの片目に刺さっているのかも知れない ウラヤマが犯人説 周辺にはポケモンが出現する草むらがあり、中もかなり荒れ放題の廃墟である。洋館の大きさや、絵画、食堂などを見るとその洋館に住んでいた人達はかなり金持ちだったといえる。ポケモン屋敷と外見が非常に似ている。 説・・・森の洋館にあるポケモンの銅像が中途半端に1個しかない。そして、ウラヤマの屋敷に同じポケモンの像が、これはウラヤマが森の洋館を去る時もってきたもの 静かな夜。一人の青年は決意した。 ある男を殺そう、と。 すべてを思い出したのはつい最近。この仕事に就いてからだ。 青年は今まで、幼少の記憶の一部を失っていた。 記憶を取り戻してからの青年は、毎日自分の生まれ育った洋館へ出向いている。 そこに眠る女の子とおじいさんのために。彼は毎夜ハクタイへ行く。 彼は毎日、ヨウカンを供える。ポケモンたちにとっては食料で、いつも散らかっている。 だが今回ばかりは違った。ヨウカンが丸ごとなくなっていた。人が持っていったのだろう。 いつものようにヨウカンを供えると、彼はヨスガシティへの帰路につく。 持ち場に着く。彼は銅像が汚れているのに気付いた。自分がいない間に触られたのだ。 大体予想がつく。深夜に必ず訪れる少年だろう。青年がいない時間に屋敷に現れたようだ。 ふと彼は思いつく。少年が出入りする時間に、ウラヤマを殺害できないか、と。 この仕事に就いてからはあの男への憎悪でいっぱいだった。幼少時代を思い出すのだ。 しかし奴を殺しては、執事に気付かれてしまう。かといって、この二人が離れることは無い。 だがここ最近、一人の少年がこの洋館に出入りしている。しかもなぜか日付を跨ぐ度に。 日付を跨ぎ、青年が持ち場にいる間は、少年は現れなかった。青年はいつものように洋館を後にする。 だが今回の行き先はハクタイではない。この洋館の裏庭である。そして、青年は身を潜めた。 洋館のドアが開く音。少年が訪れてきたようだ。洋館の中から聞こえる声。 「うらにわにはプラスルとマイナンがおるんじゃ! ほんとじゃもーん!」 プラスルとマイナン。二匹の似たポケモン。青年は思い出す。自分と同じ顔の女の子を。 裏庭のドアが開かれる。執事が二匹のポケモンを連れてきたようだ。執事は洋館へ戻ろうとする。 だが青年がその前に立ち塞がる。青年は力任せに執事を締め上げる。執事は抵抗する間もなく息を引き取る。 そろそろ少年の来る頃だろう。青年は動かなくなった執事を隅へ運ぶ。そして少年が裏庭に来た。 草むらを揺り動かし、目当てのポケモンをゲットしようと少年は裏庭を詮索している。 青年は屋敷へ戻り、あの男しかいない部屋へ進む。部屋を覗き込む。彼は奥にある銅像の裏にいる。何か呟いているようだ。 青年は知っている。その銅像の裏は金庫になっていることを。 青年は知っている。その金庫である銅像のの暗証番号を。 そして青年は知っている。 その銅像があのハクタイの森にある洋館にあったことを。 青年は我を忘れて持っていた警防で彼に襲い掛かった。自分のすべてを奪った男に制裁を与えるために。 話は20年ほど前に遡る。ハクタイに老人と双子の孫が住んでいた。双子は男女で、二人とも良く遊びよく寝る子供だった。 3人は仲良く暮らしていたようだ。ある日、一人の男が訪れる。彼は青年実業家で、老人の教え子だった。 彼は老人から何かアドバイスをもらおうと遥々やって来たのだ。彼は洋館に居候することになった。 双子はすぐに懐き、また楽しい生活が始まった。彼は絵を描くのが上手く、双子も一緒に絵を描いたりするようになった。 だがそれから数ヶ月、彼は幼女に手を出してしまう。まだ年端も行かない娘に。 彼は、この幼女以外を殺害し、この洋館と幼女を手篭めにしようと考える。 彼が幼女に手を出しても、それからの生活はあまり変わるものではなかった。 だが男の子は知っていた。彼が幼女に手を出したことを。幼女が耐えて来た事を。それでも自分には、何も出来ない事を。 ある日の夕食---その日は雨が降っていた。雷鳴が轟き、森はざわめいている。彼は何処からか仕入れて来た毒薬を老人と男の子の皿に盛る。 しかし幼女は彼が毒を盛るところを見ていた。すぐに分かった。彼が自分以外を殺そうとしていることを。 料理を運ぶのは幼女。どの皿に毒が入っているかは分かっている。幼女は皿の位置を換え、自分と彼の席の前に毒皿を置いた。 換えられたことを知らない彼はにやけていた。すべてを手に入れる瞬間を心待ちにしていた。 いつもと変わらない食卓。 食事が進む。彼は異変を感じた。幼女は食事に口一つつけていないことを。他の二人はいつもと変わることなく食べている。 不意に襲う頭痛。そして吐き気。彼は気付いた。自分が毒を盛られていることに。彼はシンクに走りこみ、ポケットから解毒剤を取り出す。 老人は彼の行動を不思議がり、シンクのほうへ向かう。解毒薬を飲み終えた彼はゴミ箱へ解毒剤を投げつける。---失敗した。 彼は叱咤した。どうしたのかと老人が尋ねてくる。彼はすぐにひらめく。ここは食卓からは見えない位置にある。そして包丁が目の前に… 双子の前に彼は戻ってきた。不自然な量の血を浴びている。双子は悟った。老人が殺されたことを。男の子は足が震えて動けない。 幼女は男の子を抱きしめる。彼は凄い形相で双子を睨み付ける。パジャマ着の二人はどちらがどちらか分からない。---まぁいい 二人ともいなくなれば済む事だ、と彼は思う。双子のほうへ近づく。幼女は男の子を逃がそうとする。そして彼の前に立ちふさがる。 出来るだけ男の子と同じ口調で、彼と対峙する。男の子は頭が真っ白になりながらもエントランスホールへ向かう。響く幼女の断末魔。 彼は幼女のほうを殺してしまったのを知り、男の子を追い駆ける。---外は雨。雷鳴が轟き森はざわめいている。 男の子は見つかるはずもない。だがあの少年に何が出来るだろうと高を括り、彼は洋館を去っていった。 それからというもの、彼の事業は成功し、ヨスガのほうへ洋館を建てる。あのハクタイの森にある洋館と似た左右対称に。 そして金庫であるあの銅像を運び出して、自室に置く。すべては上手くいっていた。---だが、あれから20年、あの少年に復讐を果たされるとは ウラヤマ自身、想像していなかっただろう。 「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」に登場するハクタイの森と呼ばれる場所がある。 その森の中には謎の洋館が建っており、いあいぎりで切れる木が洋館前を塞いでいる。 ハクタイシティのジムリーダーのナタネを倒すといあいぎりが使えるようになり、入れる。 洋館内は荒れ果てており、1階の食堂には執事らしき老人の男性、2階のベッドのある部屋に入ると、隣の部屋に幼女の幽霊が現れる。 ちなみに、2人共足がない。 また、絵画に赤くて光る目があり、近付くと消えるが、遠のくと主人公の居る場所を睨みつける。 TVにはロトムというポケモンが棲んでいるが、ロトムを捕獲または倒しても怪現象は止まらずに、 TVに対してのメッセージも「まるで誰かに見られてるようだ・・・・・・・」というメッセージのままである。 GBAのカートリッジをダブルスロットすると、絵画の部屋にゲンガーが現れる。 また、女の子の霊の部屋には身代わりの技マシンが、 おじいさんの霊が現れた食堂のゴミ箱には毒消しが、本のある部屋には年季物の森の羊羹が落ちている。 また、全国図鑑入手後、洋館前に行くとナタネが居て、自分が調査を頼まれていたのに主人公に押しつけて逃げていく・・・・・・・。 ヨスガシティ下のポケモン屋敷の銅像は森の洋館にあった銅像に似ている・・・・・・・また、屋敷全体が洋館そのものに似ていて、入れない謎の部屋がある。 ロトムの鳴き声をスローにして、聞くと最後の方で「た・・・・・・す・・・・・け・・・・・・て」という声が聞こえるという噂もある。 夜中に洋館に入ると物凄く怖いという人がかなり多い・・・・・・・・・・・・・・。 森の洋館は殺人事件が起きた場所で、ナタネかポケモン屋敷の主のウラヤマが殺したのではないか?とする説があるが、真偽は不明である。 ただ、ベッド数は3つあったのでおじいさんと、幼女、誰かが住んでいた事は確かだろう・・・・・・・。 洋館内にはゴース、ゲンガー、ゴーストしか現れない。 制作者の意図も不明。 ナタネ及びウラヤマが容疑者に駆り出される理由だが、まず、ナタネはお化け嫌いでハクタイの洋館に入る事をためらっていた。 洋館の前には彼女を倒す事で使えるいあいぎり用の木・・・・・・・。 彼女が思い出したくない過去に触れたくないのならば合点が付く。 ウラヤマ氏の場合は、洋館そのものが彼の住む屋敷と形が似ている事と、ハクタイの洋館に置いてあった像が彼の屋敷の像とそっくりだった事から疑いがかけられた。 そして、ナタネとウラヤマ、老人に少女が同じ洋館で暮らしていたとする説もあるが、任天堂からは未だにあの洋館について触れられていない・・・・・・。
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「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ」 荒い息を吐きながら暦はプラネタリウムを目指す。 エーテルが通話の締めに言っていた事を思い出す。 「……最後に一つだけ。 気をつけろ、今、お前は人と伝説の境界線にいる。 暦のバランスは伝説側に崩れ始めている」 「強すぎる者は、いつの世も、人として生きることを許されず、伝説となる」 「こちらには来るな」 「都市伝説を倒す事を生き方にはするな」 「俺は黒服になってしまった。 怪異を人知れず倒すを目的とした怪異に」 「だから戦友よ。心より忠告する。 都市伝説を殺す手を休め、人として生きろ…… 俺にはそれが出来なかったからな……」 そういって通話は切られた。 含蓄のある言葉だ。 怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。 そういう風に言った哲学者が居たはずだ。 エーテルは恐らく生涯でただ一度転んだのだろう。 人と伝説を分かつ深淵の上で。 都市伝説から人を守る為に都市伝説になってしまうとは なんと言う皮肉だろう。 「言ってる事はよく分かるけど とりあえず此処を切り抜けないと先が無いのよね~!」 怖くは無いけど辛い。 なんとかプラネタリウムに辿り着くと衛悟が出迎えてくれた。 彼は同じ高校に通う友達で組織に務める契約者だ。 「暦!連絡を受けてすっ飛んできたぞ、大丈夫か!?」 「あ、衛悟も来てくれたんだ~。 全然問題ないけどしんどいよー」 「いや、あんな連絡を受けたらほっとけないだろ」 「来てくれてありがと、中の人払いは?」 「ああ、もう既に退避は完了している」 「仕事が速いわねー黒服さんもエーテルさんの薫陶が行き届いてるみたい。 衛悟にもやって欲しいことがあるんだけどいいかな?」 「俺に出来る事なら何でも」 二人して人気の無いプラネタリウムの内部に入る。 内部には先ほど頼んだとおり、ガシャポンの玉やボールなどの 街から集められた球体が山ほど積んであった。 「それじゃ、衛悟はそこと、そこと、そこと…… あそこの入り口以外全部の九十度以下の鋭角を水で包んで」 「分かった」 衛悟の契約している「水の記憶」が発動し プラネタリウム内部が水浸しになる。 壁の皹、人工物の直角が水の幕に覆われていく…… 水が壁の角を消す。ひび割れを埋める。 人工物の直角は包まれて丸くなる。 「……流れる水に鋭角は無いわ、連続体だもの…… 溶解がティンダロスによく効くのもそのせいね。 液体の中に鋭角は存在しない。 ……普通の時間は円、時計の針が廻るように…… 時間の角ってのは針が指し示す区切られた不自然な時間ね。 ティンダロスはそれを物質の角と同一視して如何なる時間にも現れる…… 再出現のインターバルが15分なのも多分その影響」 普通の水は丸い。水滴を落とせば表面張力で自然と球形になる。 連続する流体の表面に鋭角は存在できない。 「衛悟のお陰でプラネタリウム下部の鋭角を切り取る作業をしなくてすんだわ」 プラネタリウム上部の天井は壁に星を写す性質上球形だ。 後は椅子や床にある鋭角を潰してしまえばいい。 「でもあそこの入り口をふさがなくてもいいのか?」 「私は閉じこもる為にプラネタリウムを戦場に選んだわけじゃないのよ…… もうすぐ十五分ね、さ、ボールとかガシャポンとか入り口に仕掛けるわよ」 唯一残された人工物の角から青黒い煙が立ち昇る。 暦のナイフが閃き、煙の手前でガシャポンの玉が砕けて…… 「捕まえた」 時間を戻されたガシャポンの玉が再び砕かれる前の形に戻った。 ただし、ガシャポンの中には ティンダロスが実体化する前の青黒い煙が封じられている…… 青黒い煙が外に出ようともがくがガシャポンの玉はびくともしない。 「これは!!」 「やっぱり予想通りね。 実体化する前なら即席の結界石代わりのガシャポンでも捕まえられると思ったわ。 完全に出入りを封じて建物を壊されちゃったら堪らないし。 たった一個だけ鋭角を開けておけばそこから入るしかない。 時間を計って待ち伏せておけばどってこと無いわよ」 暦は逃げる為にプラネタリウムを戦場に選んだわけではない。 迎え撃つ罠を張る為に此処を選んだのだ。 「で、これで衛悟もやり方は分かったでしょ? でも来てくれてほんとに助かったわー、持つべきものは仲間ねー。 実体化する前に水の幕で球を作って閉じ込めちゃえばいいのよ。 交代しながらやれば体力的な心配も無くなるし。 時間を稼いでいる間にもっと応援を呼んだっていいわ」 暦は普通の人間なら怪異に脅えて震えるしか出来ない時間を 待ち構えて怪異に打ち勝つ時間に変えてしまった。 「汝、時間に祈る事無かれ」 暦は煙の詰まったガシャポンの玉を拾い上げると呟く。 「特殊な能力の無い契約者じゃない普通の人だって…… 角にボンドぶちまけるなりくす玉とか用意すれば同じことが出来るかもね。 怪異や都市伝説相手には頑健に抗う意思が何より大事なのよ」 【続く】
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犬好き達に定評のあるペットショップ「ゲルマニア」 そこに、痩せこけた犬…否、狼を連れた少女が来店した リュパンと、その契約者、戌神 沙紀だ なじみ客である彼女達を、店内の犬たちが一斉に歓迎する 「こんにちはですー」 「おや、いらっしゃい」 「…いらしゃいませ、です」 ちょうど、犬たちのブラッシングをしていた店長と、長い金髪の少女が、沙紀を出迎える 総統、などと呼ばれているその店長に、少女はてとてと駆け寄った 「これ、知り合いのお店で、今度から出すわんちゃん用のクッキーですー。評判を聞きたいそうなのですよー」 「おや、ありがとう。犬たちのおやつの時間に、食べさせておくよ」 沙紀からクッキーの入った包みを受け取った総統 沙紀は、やや人見知りしている様子の金髪の少女の傍に、しゃがみこむ 「この間、店長さんから聞いたですよー?わんこたちが、急に走り出したそうですねー?」 「…はい、です」 こくり 小さく頷く少女 むむむ、と沙紀は難しい顔をする 「…み、みんな、その時の事、よく覚えてないって、言ってるんだな」 以前、少女が散歩中、突然何者かに操られるように走り出し…少女は知らないが、人を喰らった犬達から話を聞いたリュパンが、そう通訳する リュパンの正体は最早この店の者には知られて居る為、喋れる事を隠す事もない 「た、多分…おいらと同じ状態、と、言うか…それより先の状態に、なったんだと思うんだな」 「……うん?どういう事だい?」 リュパンの言葉を聞いた総統が、膝に乗っていたグレートデーンの子犬のブラッシングを続けつつ、続きを促す リュパンは、以前、自分達がコーク・ロア支配型の被害者たちに襲われた時…己の頭の中で、声が響いた事を、伝えた それは、酷く甘美な声だった 野生の本能を、呼び覚まさせようとする、声 人を喰らえという、そんな誘惑の声 「おいら、は都市伝説だから、抗えたと思うんだな。普通の犬は、操られちゃうと思うんだな」 「なるほど…」 険しい表情を浮かべる総統 それは、誰かが犬達に、強制的に人食いをさせている証 その行いに、総統は怒りを覚える 「それって、都市伝説の仕業なんでしょうかー?」 ブラッシングを手伝い始めつつ、首をかしげる沙紀 ふむ、と記憶を探り、総統が答える 「…確か、フランスに、犬を操る能力を持つ都市伝説がいる、と聞いた事があるな」 「……く、クールトーの事、なんだな?」 「くーるとー、ですか?」 「…?」 沙紀と少女が、そろそろ話しについていけなくなってきつつある リュパンは、あまり思い出したくない事なのか、話す事に迷いを見せたが…話す事で、沙紀を護る事に繋がるかもしれない、と考えたのだろうか ゆっくりと、話し出す 「む、昔…パリの周りで恐れられた、狼なんだな。悪魔のような性質を持っていて、100頭以上の群れのボスだったらしいんだな」 「当時は、パリから旅立つ人間に対して「クールトーに気をつけて」と挨拶が交わされるほど、恐れられたらしいね」 「…なんだな」 総統の捕捉に、頷くリュパン 同じフランス出身で、同じ狼の姿の都市伝説同士ではあるが…リュパンは、クールトーと言う存在が苦手あd 臆病な気質の自分と違い、クールトーは積極的に人を遅い、喰らう存在だ とある有名寺院に押し入り、複数の聖職者を食い殺したという恐ろしい実績も持っている 戦う事に、なったら 自分では勝てない、とリュパンは情けない確信をもててしまっていた 100頭以上の群れのボスであった、という言い伝えの拡大解釈により、クールトーは犬科の生き物を操る能力を持っているのだ …そして 契約者でも、得たのだろうか 以前は、自分のような都市伝説相手に、操るような能力はなかったはず しかし、あの時の自分は、一歩間違えば、あの力に操られていた 確実に、能力が増している 「ク、クールトー、って名前は、尾なし、って意味なんだな。名前の通り、クールトーは尻尾がないんだな……そ、そう言う大柄な犬を見たら、気をつけた方が、いいんだな」 「あぶない、ですか?」 「そうみたいですねー…」 よしよし、金髪の少女を撫でてあげている沙紀 どうも、この少女と一緒にいると、姉にでもなった気分になるらしい 犬以外どうでもいいという考えの彼女にしては、わりと面倒見がいい 「こちらでも、警戒しておこう。君達も、気をつけるんだぞ?」 総統の言葉に、はいですー、と頷く沙紀 リュパンも、ゆっくりと頷いた …そして、思う あのクールトーが、契約者を得たならば、それはどれだけ恐ろしい人間なのだろう、と かつて、リュパンはクールトーと会った事がある それと同一の存在かどうかはわからないが…少なくとも、リュパンが出会ったクールトーは、酷く残忍で、人間を見下した性格をしていた あれが、人間と契約するとは、到底思えず …もし もし、契約をしたのなら それは、クールトーと同じくらい残忍な性格か もしくは、何らかの力でクールトーを屈服させたに、違いないのだ できれば、遭遇したくない もし、遭遇したならば… (…おいらは、命に変えても、沙紀を護るんだな) その想いは、口には出さず リュパンはそっと、沙紀に寄り添ったのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と
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ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 24 チクチクと体を何かが這い回る感触で目を覚ます。 クラクラとする頭を振りながら、左手の腕時計を見ると、突入してから1時間以上たっていた。 おかしい、たしか俺は底の見えないほど深い巨大穴を命綱も無しに落下してしまった筈だが…未だ生きている自分に対し首を傾げる。 いくら深い穴だと言っても、流石に一時間も落ち続ければ今頃、俺は潰れたトマトのようになっているはずだが、さてどういうことだ……と、辺りを見回した俺は、驚愕した。 何千匹、いや何万匹だろうか、トゲの生えた小さな虫の群れがウゾウゾと壁に張り付き落ちそうになっている俺の体を支えていたのである。 「うおぉぉ、なんじゃこら!?」 体全体に鳥肌が走り、口から情けない悲鳴が出る。 と、そんな俺に近くから声を掛ける存在があった。 「あ、おきたー? こんにちわー」 慌てて声のした方向を見ると、そこには黒服を纏った小さな幼女。 その幼女も、俺と同じように大量の小虫の群れに抱かれるように、この巨大な縦穴の壁面に張り付いている。 「なっ……お前、何ものだ?」 「はーい、B-No.005でーす」 「びーなんばー……なんだそりゃ?」 「イッちゃんのー、忠実なー、配下だよー」 「……イッちゃんって、いや、もういい……お前は俺の敵か?」 なんともホエホエっとした言葉に脱力しながら問いかける俺に、目の前の黒服幼女はにっこりと満面の笑顔で答える。 「うんそうだよーボクはー十円玉のお兄ちゃんの敵ー」 ゾワリ、と何か言いようのない悪寒が全身に走る。 目の前の笑顔の幼女が、その姿に似合わぬ、強烈な殺気を俺に向けてきたのだ。 「何故、敵が…俺を助けた?」 「だってー、ボク自身で侵入者を殺さないと、イッちゃんに褒めてもらえないでしょー」 つまり、俺が勝手に死んでしまえば自分の手柄が無くなる為、あえて命を助けた後で改めて自分の手で始末しようと、そういうことか。 「じゃ、そろそろ死んでね?」 そう言いながら無邪気に笑う幼女、その言葉に反応するように、俺にまとわりついていた小虫たちが蠢き始める。 「いや、ちょっとまった、死ぬ前に、せめて冥土の土産に教えて欲しいことがある!」 冷や汗を流しながら俺が叫んだ言葉に、幼女が小首を傾げる。 「なーに?」 「「鮫島事件」についてだ、何故こんなタイミングで発動させようとする? 今はそんなことよりも「夢の国」の侵攻を防ぐ為に団結するべきじゃないのか?」 「んーん、むしろ「夢の国」が現れたからこそだよー? 大丈夫、「鮫島事件」が発動すればぜーんぶ、何もかも良くなるから」 「「夢の国」が現れたからこそ? どういう事だ、「鮫島事件」の能力で「夢の国」を消滅させる気か、この上に存在したビルと同じように、街ごと?」 「んふふー違うよー、「鮫島事件」の能力は、お兄ちゃんがいうような「消滅」なんかじゃないのー、本当の力はー……「嘘を本当にする」力なのー」 嘘を本当に? つまり、発動者の思った事を全て叶える力って事か? なんだ、そのチート能力は…… 「それでね、それでね、その力を使ってこの街に居る人間や都市伝説をね、ぜーんぶ、「組織の狗」にしちゃうの!」 「組織の……狗だと?」 「そう! 誰も組織に逆らわない、そんなこと考える感情もない、ただイッちゃんの命令だけ聞く人形になるの、そうしたら誰も喧嘩したりしないし、ずーっと平和になるよね!」 なんだそれは……この学校町の人間を全員、感情のない操り人形にするだと? 巫山戯ている。 「……最後の質問だ、その「鮫島事件」の発動条件はなんだ?」 「えー? えっとねーたしかー「発動範囲内に居る存在の内の、過半数がその嘘を信じる事」だよー」 そうか、そこまで聞ければ、もう良いだろう…… 「んー、もう質問は終わり? じゃあ、そろそろ死んで……」 「馬鹿か、それだけの事を聞いて、こんな場所で死ねるかよ!」 下半身に集る虫を払い除けると、ポケットに入れた鏡を取り出し、俺は叫んだ。 「都市伝説「幽霊の映る鏡」との契約を破棄する!」 メキリッと、まるで魂の半身が剥がれ落ちるような激痛に気が遠くなりそうになる。 手元の手鏡から光が失われ、くすみ色あせていく。 強引に契約を破棄した反動で途切れそうになる意識を賢明につなぎ止め、更に胸ポケットから俺が持つ最後の「契約書」を取り出した。 既に「契約書」に都市伝説の名は書かれている、あとは発動するのみ! 俺の意志に反応するかのように契約書が青白い光を放つ、その光に反応するように、手に持つ薄汚れた鏡に光が戻っていく。 「契約! 都市伝説「鏡はあの世への通り道」!」 その言葉と共に、目映い閃光を発する鏡の中へ手を突っ込む。 柔らかい小さな掌の感触、掴んだ手を離さないまま、俺は「彼女」を力任せに引き寄せた。 「おそいわよ、この馬鹿!」 鏡の大きさを無視するように、かつて俺の都市伝説「墓場で転ぶと死者に連れて行かれる」によって 「生きたまま身体ごと」死者にあの世へと連れて行かれた少女が、連れて行かれた当時のままの姿でこの世へと戻ってくる。 小悪魔的な笑顔を表情に張り付かせ、俺の首元に抱きついてくる生き返った少女を抱き留めながら、俺は叫ぶ。 「やっちまえ、糞ガキ!」 「オッケー、久しぶりにいっくわよ! さあ蹴散らしなさい、スカイフィッシュ!」 どこからともなく現れ出でた、全長2m程の棒状の身体に四対のヒレ、まるで空中を泳ぐ魚のような姿をした都市伝説が目にも止まらぬ速度で周りで蠢いている虫達を蹴散らしていく。 「な、なんで、スカイフィッシュのお姉ちゃんはずっと前に死んだはずじゃ……あ」 唖然と呟く黒服幼女にスカイフィッシュが音速を超えるスピードで突撃しその身体を貫くと、その衝撃でバラリと幼女の姿が崩れていく。 「ちっ、変わり身かよ……」 黒服幼女の姿を模していた虫達の塊が落ちていくのを忌々しく眺めながら、俺たちは周りの虫の大群を蹴散らし終えたスカイフィッシュの背に乗り深い縦穴を降りていった。 前ページ次ページ連載 - ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗
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【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~】 麻薬みたいな男を一人知っている。 その男は人を酔わせる不思議な魅力を持っている。 その男は万人が求める悪人としての要素を十分すぎるくらいに持っていた。 他人など意に介さず自らの意志の赴くままにあらゆる悪行を為し、 自分の目的の為には他人を道具としてしか考えない。 人を酔わせる麻薬そのものか、麻薬に操られる人間か。 この差は大きい。 同じ悪を為す人間であっても前者は自らの意志で悪事を行い、後者は状況に流されて悪事を行うからだ。 どちらが悪いという話でもないが……。 正義の味方をやっていると善にはなり得ない人間が居るってことを実感せざるを得ない。 自らの意志で悪事を行う人間はそういう意味で恐ろしい。 彼らは自分が悪だなんて欠片も思わずに自らの思うままに行動するのだ。 自分を大事にとか心のままになんて言葉は良く聞くが、程々にして欲しい物だ。 「悪魔の囁きの契約者とその仲間。 今の学校町を騒がせているのはそいつらだ。 お前が言うところの悪人ってならそいつらじゃねえかな? 組織から任務が降りてくるだろうからくれぐれもお前一人で突っ走るなよ?」 「はい、ありがとうございます。」 「それとお前さんが会ったポケモンマスターだったっけか? お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ。 超遠距離から契約者を一撃で倒すタイプの都市伝説で対処することになると思う。 お前らには恐らく蛸妊娠だかの契約者の対処が割り当てられるんじゃないか? 対生物が一番刺さるだろう?お前らの攻撃って。」 「そうですか……。 解りました、でも俺達の接触した契約者って………。」 「ああ、知っている。子供なんだろう? 組織だってそこまで酷い奴らばかりじゃねえよ。 というか今は善良な奴が多いぜ?何故か“事故死”する過激派の黒服が多いそうだ。」 「そうですか……。」 「そうなんだよ。それじゃあ切るぜ。」 「はい、それじゃあ。」 携帯電話の電源を切ると俺はそれをポケットに投げ込んだ。 身体をバタンとソファーに投げ出す。 俺は笛吹探偵事務所の所長室の椅子に腰をかけていた。 学校は終わって、今は春休みである。 「どうしたのアスマー?」 「いや、Hさんからの電話。」 「おーい、恋路!もう一回勝負しろ!」 奥の部屋、恐らくここの主がプライベートで使っている部屋から子供の声が聞こえる。 「あ、ちょっと待っててねレモンちゃん!」 「橙だ!」 「似たような物じゃないか!」 ハーメルンの笛吹きからこの事務所を預かり受けた時、助手を一人紹介された。 橙レイモンという少女だそうだ。 複雑な経緯で彼の事務所の助手をしているらしいが詳しいことはまだ教えられていない。 ただ、このレイモンという少女はハーメルンの笛吹きの語るときに嬉しそうな顔をする。 だからハーメルンの笛吹きに何か恩義が有るのだろう。 「小足みてから昇竜拳!」 「うわああああああああああ!!!」 恋路と橙は格闘ゲームをやっていた。 そしてまた橙が負けた。 恋路の超速反応について行っている分、今までの挑戦者よりはまともに戦えているのだがそれでも彼女には勝てないようだ。 「なあ、橙……さん。」 「なんだ明日真。」 「その、君の都市伝説ってのは本当に……?」 「しつこい奴だな、僕の都市伝説はラプラスの悪魔だと言っているだろう。」 「アスマー、女の子に詮索かけるのはあんまり良くないよー!」 「むぅ……。」 橙レイモンという少女は『ラプラスの悪魔』と契約している契約者なのだそうだ。 どうも俺にはそれが信じられない。 こんな小さい少女がそれ程巨大な都市伝説と契約できそうには思えない。 その辺りの詳しい事情も聞きたいが恋路に阻まれて聞き出せない。 「壁際まで追い詰めて1killコンボ!」 「うわー!また負けた!」 「レモンちゃん大分強くなってきたねえ!」 まあ解らなくても良いかと思う。 橙は優秀な助手だったしこれ以上探るのも野暮という物である。 というか探偵そのものだった。 おそらく笛吹は彼女に探偵業務の大半を行わせていたに違いない。 「明日君、頼まれていた都市伝説の出没マップ持ってきたよ。 元気無さげじゃない?」 ドアが開くとセーラー服の少女が事務所に入ってきた。 向坂境、この探偵事務所の所長だ。 笛吹がまとめた都市伝説の資料を向坂が持ってきてくれたのだ。 「ああ、向坂さん。いやどうにも笛吹という男が解らないんだよね。」 「そう?あの人って良い人よ。私のお姉ちゃん見つけてくれたし。」 「そりゃあ仕事だったからだろう。」 「わたしお金払ってないよ?」 「ああ、そういやそうだったな。良い人って……どんな風に?」 よく考えれば俺は笛吹という人間をよく知らない。 これから戦うことになるにしてもこのまま協力関係が続くにしてもあいつのことを知っておくべきだろう。 「彼は、神様みたいに良い人でした。」 歌うように語り始める向坂。 そうとうあの男が好きなのだろう。 そういえば笛吹は女性に好かれやすいな、この事務所のスタッフも彼が契約している都市伝説も女性だ。 あんな性格なのに何故だろう? 理不尽だ。 「まあ神様というのは冗談として彼って基本的にずれた人です。 だからなのか知らないんですけどついつい見ていたくなります。 彼は彼しか愛せない人間ですが、そんな彼だからこそ不思議な魅力を持っている。 むしろあれほど魅力的な自分だったならば愛せざるを得ないかもしれない。」 「変わっているけど良い奴なのか?」 おかしい、俺は会った瞬間殺されかけたはずなのだけどな? 「自分はろくでもないド外道の畜生野郎だからできるだけ人に優しくしているって言ってました。」 うん、確かにあいつはド外道だ。 「成る程ね、他になんか特徴って無いの?」 「ああ、すごく自己中だよ。」 今度は後ろから声が届く。 橙レイモンが口を挟んできた。 「あいつはとにかく自分の感性を優先する。 他人の事なんて一切考えない。 自分の都合で誰かを幸せにして誰かを不幸にする。 そこそこ優秀な人間だからなおのこと他人に迷惑かけるんだよ。 人間味が薄い、ってのが一番言い得ているかな?」 「あー、それは私も思った。 笛吹さんって人間っていうには頭の捻子外れちゃっているよね。」 今度は恋路だ。 なんでみんなあいつのことを話したがるのだろう? 「お前ら楽しそうだなおい……。」 思わず呟く。 悪人ほど人を惹き付けると言うがその通りなのだろうか? 誰かと人間関係を作るとき善悪なんて人はそれほど気にしない物なのかもしれない。 でも、悪いことは悪いこと。 どこまで言っても変わることはない。 だからそういう考え方は駄目だと思うのだが、今言っても仕方がないか。 「話題にしてると飽きないから。」 「話題にしかならないから。」 みんな、同じようにそう言った。 カランコロン! 事務所のドアが開く。 「皆さんこんにちわ………?」 遠慮がちに扉を開けて来たのは金髪の幼女だった。 「おや、メルちゃんじゃないか。」 「お久しぶりです皆さん。」 「やっと来たか笛吹(小)。」 「メルちゃん元気になったー?」 幼女、といっても都市伝説『ハーメルンの笛吹き』、しかも本体である。 本来とても危険なはずの都市伝説なのだがここに居る女性陣は普通に接していた。 普通身構えないか? 俺がおかしいだけなのかもしれない。 「明日さん、その節はどうもお世話になりました。」 ぺこりと頭を下げるハーメルンの笛吹き。 「いえいえ、こちらこそ。」 一応自分も頭を下げてみる。 どうも彼女のことは苦手だ。 「メルちゃんとりあえずスマブラやろうぜー。」 女性陣は四人揃ったのでスマブラを始めることにしたらしい。 俺は人数にカウントされていないようだ。 「私wii出してきますね。」 「――――――向坂さんそこを開けちゃ駄目だアアアアアア!!」 「え、あ、…………うわあ。」 絶叫するレイモン。 愕然とする向坂。 「所長が何か妙な物でも隠してたんですか?」 メルが後ろから覗き込もうとする。 「駄目だ、メルちゃん貴方は見ちゃ駄目!」 「あ~れ~!?」 向坂はすばやくメルの目を隠す。 「あはは、まあ所長も成人男子だしねえ……。これくらいなら許容範囲内じゃない?」 恋路がとりあえず弁護し始める。 「じゃあ恋路さん、仮に明日君がこんな物持ってたらどうしますか?」 俺の話にするな、向坂。 「そりゃ決まってるじゃないか向坂さん。」 「と、言いますと?」 「正直引くわー………。」 俺は家に帰ったらすぐに『Hで綺麗なお姉さん』のDVDを処分することに決めた。 さらば、俺の秘蔵コレクション。 「さて、気を取り直してゲームやりましょうか。」 「そだね、これは見なかったことにしよう。」 くそっ、あいつの隠してたDVDってなんだったんだ! すげえ気になるじゃないか! あいつの好みってなんなんだ? わがままな性格だから年下か? いや、もしかしたら人妻とかそういうドロドロしたのなのか? 気になる!すっげえ気になるじゃないか!!! 「あ、あのさ……。」 意を決して聞いてみることにした。 「其処にあったのって……。」 女性陣が同時に振り返る。 少々怖い。 「あ、すいませんでした。」 とてつもない疎外感を感じた。 「テンッ!クウ……ウボァー!」 「ふっ……そこだぁ!」 女性四名はスマブラをしている。 先程までは恋路が圧倒的に強かったようだが今度は橙が強いらしい。 「橙さん、弱った相手だけ狙いますよね。」 それに真っ先に気付いたのはメルだった。 ピクミンを投げながら向坂を牽制している。 「これはそういうゲームだよ。」 「それにしてもまさか私達の動きを能力で読んでいるなんてことは……。」 まさかこのゲームでも橙は都市伝説の能力を使っているのか? 「だからどうしたんだと言うんだ!ハッハー!勝てば良いんだよ勝てば!」 もはやキャラが違う。 スマブラが友情破壊ゲームだとは聞いていたがここまでとは知らなかった……。 「その通りだ、レモンちゃん。」 「えっ、嘘!?」 一瞬で橙のマルスまでの距離を詰める恋路のウルフ。 「こいつで遊んでやるぜ!」 「あーれー!?」 橙のマルスはなすすべもなく吹き飛ばされていった。 はて、ここは探偵事務所だったような気がするのだが……? これだけ遊んでいても良いのだろうか? 一しきり遊ぶと恋路は夕飯の為に買い出しに行ってしまった、 橙は親御さんらしき謎の紳士のお迎えで帰り、 向坂は親と約束した時間なので自宅に帰って行った。 そして俺とハーメルンの笛吹きのみが事務所に残されてしまった。 「明日さん、私が暴走している時に所長の手助けをして頂いたって話を聞きました。 本当にありがとうございます」 急に真面目な顔になって俺に頭を下げるメル。 どうにもこうやってまともに感謝されるのは苦手だ。 別に当たり前のことを当たり前にやっているだけな訳だから。 「いや、誰かを助けるのに理由なんて要らないよ。」 「……本当に良い人なんですね。理由が有ればなんでもするあの人とは正反対だ。」 「理由が有れば?」 「ええ、あの人は都市伝説として消えかけていた私を明確に人々に記憶させる為にあんなことしてたんです。 そこに彼自身の趣味趣向はあったのでしょうけど……。 そういう大義名分は少なくともありました。」 「この前の孤児院襲撃もそうなのか? 男の子一人に説教決める為だけに大暴れしたそうじゃないか。」 「ああ、あれも組織の過激派に連れて行かれそうだった女の子救い出す為にですね。 あの人は悪魔ですから、自分と自分の周りの物の為ならなんでもやります。」 「悪魔ねえ……。誰かを守る悪魔?」 「誰かを守るから悪魔なんですよ。」 「まったくだな。」 メルの言葉は不思議と胸に納まった。 「誰かを守るから、誰かを傷つけなきゃならない。」 「私は他人を犠牲にしてでも生き残ろうと思った。 でも私は手を染めたくない。 そんな時、彼が私の代わりになんでもやってやると言ってくれた。 ほんと、そんなもんですよ彼なんて。」 「悪だなあ、退治するべきだったか?」 「もう遅いですよ。 私は恐怖の都市伝説として生きていけるんで向こう1000年いけますね。 もうしばらく私が戦うことはないです。 だから私を殺しても無駄です。」 「そっか、じゃあやめる。」 わるいことをもうしないなら良いんだ。 「ていうかあれです。 もう私は只の人間とそんなに変わらないんですよ。 都市伝説の能力がほとんど無くなっちゃったんで。」 突然、メルから思わぬ言葉が飛び出た。 信じられなくてもう一度聞き返す。 「今、なんていった?」 「いや、だから所長にとりこまれちゃったんですよ。 私はまあ……ハーメルンの抜け殻的なあれです。」 「都市伝説を取り込むって……。」 「だから、私はもう何も出来ない無害な存在ですよ。」 そういってメルは力なく笑った。 「その話を聞いて気になったんだけどさ。 じゃあ今、お前の契約者はどうなっているんだ?」 「特に変わった様子はないみたいですけどねえ?」 「……少し気になるな。」 「まあ学校町もすっかり平和になりそうですからあの人は大人しくなりますよ。 いつも平和になったら真っ先に消されるのは自分だってぼやいてますし。 それを避ける為にも静かになるんじゃないですか、多分。」 「悪人も苦労しているわけだ。」 「ていうか悪いことするのってすごい労力が必要ですから。」 「苦労してわざわざ悪いことするのか? やめて欲しいなそれは。」 苦笑せざるを得ない。 「善悪なんて誰かが後から決めるものですよ。」 「いいや、善悪は自分が決めるのさ。」 「決められるほど立派な人間なんですか?」 自分は立派な人間じゃない。 それ位は解っている。 「いいや、でも悪いことは悪いって誰もが解るだろう? 常識的に考えて。」 「常識………、ですか。」 「良心でも良い。」 常識とか良心が無かったらお終いだろう? そうとしか自分には言えない。 「善悪って理屈じゃないと思うんだよ俺。 最後は何も言わずに解るような常識とか良識にかかってると思うんだよね。 そうじゃないと同じ人間で居る意味が無い。 理屈抜きにして伝わる物が一番大事だよ。」 「…………ふっつーに善人ですねあんた。」 「ありがとう、偶に言われる。」 良い人だね、この言葉が正義の味方の証明だ。 この言葉があれば自分はいつだって正しくいられると思うのだ。 それが皮肉でもあてこすりでも構わない。 だって駄目だろ、常識的に。 何時だってそう言えるのが理想ではあるがそうも言えないのが中々悲しい。 「どうしたんですか明日さん、難しそうな顔をして?」 「そうか?」 契約者もそうだがこいつも結構するどいなあ。 やはり苦手だ。 「只今ー!夕ご飯の材料買ってきたよ、メルちゃんも食べていくかい?」 しばらくすると恋路が両手にスーパーの袋を抱えて帰って来た。 「お、恋路おかえりー。」 「ああ、じゃあ私も食べていきます。」 「今日の晩ご飯はウナギです。」 「うわっ、贅沢!?」 「あれ、ああそういうことなら邪魔者は退散しますね。」 いそいそと帰り支度を始めるメル。 「いや待って!?そういうんじゃないから!」 慌ててメルを止める恋路。 個人的には彼女が帰ってくれた方が俺は嬉しかった。 「じゃあ私キッチン借りるからー!」 「じゃあ私はお皿とか準備しときますね。」 いそいそと二人が夕食の準備を始める。 俺も事務所の表札をopenからclosedにしてくることにしよう。 ウナギの焼ける良い香りを楽しみながら俺は所長の椅子から立ち上がったのである。 【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~fin】 前ページ次ページ連載 - 電子レンジで猫をチン!
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人肉料理店とその契約者 10 夕暮れ時の町を歩く三人の女性。そのうち若い二人は土埃にまみれていた。 「本日の特訓とゆー名の虐待終了っと……さっさと帰って風呂はいろ…」 「なーにが虐待ぢゃ?まだまだ無駄な動きが多いから余計疲れるんぢゃよ」 「ですが2対1でも敵わないとのは少々ショックでしたね」 年の功ぢゃよ、と答えながら歩く姿は、疲れ一つ見えない。二人を相手にして息も切らさなかったのだ。軽く化け物じみている。 「戦闘経験の差、ですか。殆どの攻撃をいなされましたからね」 「年の功で岩だの丸太だの投げてくんのかよ……あれ?あそこに居るのって……」 「どうしたんぢゃ?」 視界の隅に見覚えのあるヴェールがちらつく。 あれは確か、【爆発する携帯電話】の契約者と一騒ぎあった時に見た姿。 「やっぱあん時の司祭さんか。こんばんはー」 「……?ああ、あの時の。こんばんは。どうしました?そんな泥だらけで」 向こうもこちらに気付いたようだ。しかし流石に全身真っ黒なのを真っ先に聞かれた。 「あ、いやこれは…」 「どうぞお気になさらずに。ちょっとはしゃいでいただけですよ」 「はしゃぐ?」 「まぁ、うちのばーちゃんのちょっとは死に繋がるけどな……そーいえば携帯のにーちゃんは元気?」 あまり続けたい話題でもなかったので話しを逸らす。 だがその問いに驚いたような顔を見せる司祭。 「どしたの?なんかあった?」 「……いや失礼。彼も変わりありませんよ」 「そう?会う度に鼻血噴いてたからさ。ちょっと心配になってなー」 「彼は、あまり女性が得意ではありませんから」 「少年も同じ様なものですよね?」 「やかましいっ!」 オーナーの生乳見てぶっ倒れた事がある手前、下手に笑えない。 ……しかしあれはヤバイ。乳的にも出血的にもヤバイ。流石に心配にもなるというものだ。 「ところで、『携帯』のにーちゃん、と言いましたか……何処で彼の能力を?」 ほんの一瞬、二人に気取られない程度に目を細め、問う。 「あれ、聞いてない?コーク・ロアの契約者、一緒に倒したんだけど」 「…ああ、なるほど」 確かに、二人組の女性に助けられた、と言っていた。その答えに司祭の仮面を被り直す。 「あなた方の事でしたか。ご迷惑をおかけしました。私からもお礼を言わせてもらいますよ」 「いえ、ああいった者を止めるのが、この町に来た目的ですから。気にしないで下さい」 「そーいや、あん時居なかったみたいだし、携帯のにーちゃんと契約してるわけじゃないんだよね? 司祭さんはなんの都市伝説なの?」 「……!」 少年の問い掛けに、マリ・ヴェルテは考える。 …どうしてこの二人は、自分が都市伝説だと知っているのか? 【爆発する携帯電話】の契約者が喋った?……いや、多少面識がある相手とはいえ、彼が仲間の能力を簡単に話すわけがない。 それに、もし知っていればこんな世間話などしていないだろう。 何かしらの都市伝説、と気付いているが、自分が【マリヴェルテのヴェート】だとは気付いていない? ……恐らくは何らかの感知能力。それでどんな都市伝説なのか気になった、といったところか。 (面倒ですね…やりますか?しかし……) 完全に油断している今ならば、仕留めるのはたやすい。 ……だが、周りに人が多過ぎる。 「………」 「司祭さん?」 「何故、私が都市伝説だと?」 「へ?あの、それは……」 「私の都市伝説としての性質のようなものです。ある程度まで近付けば、相手が人か、それ以外なのか判るんですよ」 こちらの緊張が伝わったのか、オーナーが一歩前に出つつ答える。 「気に障ったのであれば謝罪します」 「そ、そうそう!別に無理に聞き出すつもりなんかないから!」 どうやら戦う必要はなさそうだ、とマリ・ヴェルテは思う。 今の姿は善良な司祭。絶好の隠れ蓑なのだ。一瞬で姿を変えられるとはいえ、目立つのはまずい。 なによりも教会から近すぎた。先程からちらほらと見知った礼拝者の顔も見える。 「そうでしたか。申し訳ありませんが、その事は「あたしは気になるねぇ?」……!?」 これ以上詮索される前に、さっさと会話を終わらせて立ち去ろう そう思い話し始めた時、それを阻む者が居た。 「ばーちゃん!?」「ひきこさん?」 マリ・ヴェルテの言葉を遮って放たれた声。 それを発したのは、今まで一言も喋っていなかった少年の祖母だった。 「ばーちゃん!いきなり何を」 「お前さん達はは少し黙っちょれ。今、あたしが話しとるのはこの男ぢゃよ」 そう言って少年を押し退けると、マリ・ヴェルテの二、三歩前で立ち止まる。 「どういった意味でしょう?」 「そのまんまの意味ぢゃよ。あんたが一体何の都市伝説なのか……教えてもらえないかねぇ?」 微笑んだまま、しかし明らかな敵意をもって相対する二人。 「……断る、と言った場合は?」 「さあ?どうなるのかねぇ……」 マリ・ヴェルテのヴェールが揺らめく。 ひきこさんが爪先で間合いを計る。 そしていきなりの急展開に完全に蚊帳の外な二人。 「これは……参りましたね?」 「参りましたね?じゃねーよ!ナニしてくれてんだあのババァ!? あれか?新手の都市伝説【KYババァ】か!?折角丸く治まりそうだったっつーのに!」 「元々好戦的な方だったのではないでしょうか?ひきこさんの挑発にもあっさり乗りましたし。 あと、もう少し落ち着いて下さい?」 「この状況で落ち着けるかっ!?っつか冷静に分析してんじゃねえ!?止めるぞ、あの二人!」 今にも激突しそうな自分の祖母と知り合いを前にして、どうにかして止めようとする少年。 それとは対象的になぜか動かないオーナー。 「いえ、止める必要はないと思いますよ?」 「はぁっ!?何言ってんだよ!早くしないと……!」 そのまま無言で司祭の後方を指し示すオーナー。吊られて少年もその方向に目をやる。 そこには小さな影が迫って来ていた。 「ここでやりますか?」 「いんや、ちょいと人が多いからのぅ。あんたがよけりゃ場所を移したいんぢゃが?」 睨み合ったままじりじりと移動する司祭と老婆。 「ええ、いいですよ。こちらとしても好都合です」 「ほんなら……………………………っ!」 いきなり動きを停めたひきこさんに怪訝な顔をするマリ・ヴェルテ。 …誘っているのかもしれないが、叩き潰してしまえば問題無い。そう思い直し、全身に力を込め――― 「あー!しさいさまだー!」「どこどこ?」 「ほんとだー♪」「あたち、キレイー?」 ―――襲い掛かろうとした所で、場の雰囲気をぶち壊す声が響いた。 僅かに覚えのある、舌足らずな喋り方におもわず足を停めるマリ・ヴェルテ。確かハロウィンの時、教会に来ていた子供達だ。 「しさいさまーごほんよんでー」「あーわたしにもー」 「えーあそびいこうよー」「これでもかー?」 割と予想外の事態に、どうするべきか考えていると、目の前の老婆がいきなり距離を詰めてきた。 「チッ!やる気「どれどれ、このババが絵本でも読んでやろうねぇ♪そっちの子は肩車でもするかの?あ、お嬢ちゃんべっこうアメ食べるかい?」 そのまま、すっ、と横を帰ってり過ぎ子供達へと向かう。その顔には、先程とは違う満面の笑みが浮かんでいた。 「………ちょっと待て」 「なんぢゃ?あんたまだおったんか。ほれ、帰っていいぞい」 「んなっ!?」 あっさりと言い放つ。もはや眼中にないらしい。ぷるぷると震える司祭を尻目に子供達へと向き直る。 「おばーちゃんだれー?」「えほんよんでくれるの?」 「ぐるぐるまー♪」「アメ、ウマー」 「ほっほっほっ、ババと一緒に遊ぼうねー♪」 そのまま子供達を連れて去っていくひきこさん。後に残されたのは呆然とするマリ・ヴェルテと、諦めた表情の身内二人。 「予想通りですね」 「なんか一人ヘンなの混じってなかったか?」 「ナメてんのかてめぇら!?」 「キャラが変わってますよ、司祭様?」 「お、落ち着いて?ばーちゃんの『アレ』はほぼ病気みたいなもんだから……オーナー!司祭さんと教会まで転移!!」 「承知しました」 「ってオイ!ちょっと待t」 なんか言ってた気もするが今は無視。それよりも優先すべき事がある。子供達の救出だ。 「……本読んだりお菓子やるくらいならまだいいよ? 『高い高い』とかいって10㍍もぶん投げられたり、肩車したままムーンサルト(三回転)やられた日にゃートラウマ確定だ……!」 幼少の頃に受けた数々の仕打ちが蘇る。本人は好意からやっているのだろうが、やられた方からすれば恐怖以外の何物でもない。 …しかし問題点はこちらの言うことを素直に聞いてくれるかどうか。祖母の子供好きは、ある意味本能レベルである。 最悪、力ずくで引きはがすしかない……可能かどうかは別として。 「やるしかねーか……」 オーナーが戻って来るのを待っている暇は無い。救助が遅くなる程、子供達の心に傷が刻まれる危険が増える。 溜息と共に歩き出す少年であったとさ。 終 前ページ次ページ連載 - 人肉料理店とその契約者
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さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、どうして出会ったのか さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、どうして共に在る事を選んだのか さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、だぁれ? Red Cape あぁ、もう イライラする、イライラする、イライラする!! 少女は苛立ちを隠すことをなく、ずんずんと歩いていた 子供用のブランド物の服に身を包み、しかし、その服とはどこかアンバランスな、赤い靴を履いた少女 ずんずん、ずんずん あぁ、もう、イライラする!! どうして、自分は勝てないのだろう どうして、いつも負けてしまうのだろう 今まで、そんな事はなかった てる相手にだけ、勝負を挑むようにしてきたはずだった 今はまだ、レベルアップの最中なのだから 格下の相手だけと戦い、経験を積む最中 …そのはず、だったのに いつからか、自分たちは負け続けている …あの、赤マントと赤いはんてんに負けてから、ずっと…… 「あまり苛立つと体によくないぞ?」 「うっさいわね!」 あぁ、もう、誰のせいだと思っているのだ、このロリコンショタコン変態どマゾ!! 自分と契約している都市伝説に、心の中でありったけの罵倒をぶつける 直接、口には出してやらない そうしたら、喜びやがるから、このどマゾは …とにかく、自分たちよりも、弱い相手を探そう そして、そいつらと戦い、強くなるのだ この辺りで、一度、それを何とかしなければ …だからこそ、この暗くなってきた時間帯、迎えの車も呼ばずに外を歩いているのだ そうじゃなければ、こんな時間に外を出歩くものか ずんずん、ずんずん、ずんずんずん 歩き、歩き続けていると 「……いるぞ」 「えぇ」 わかる 赤い靴が感じとったのならば、それは自分にもわかる 一体どう言う能力なのかよくわからないが、この赤い靴は他の都市伝説の気配を感じ取りやすい 噂に聞く、赤い目をした女性ほど高度な感知能力ではないものの、微弱ながらも都市伝説の気配を感じ取れる、と言う能力は有利である だからこそ、今まで順調に弱い都市伝説と戦い、強くなってきたのだから …ひたひたと 背後から、誰かが近づいてきている 狙いは……自分か 子供狙いの都市伝説か? (…まぁ、何だっていいわ) さぁ、かかってこい 返り討ちにしてやる……! ずんずんずん 少女は、振り返る事なく歩き続ける 気付いていないふりをして 徐々に、徐々に 気配は、近づいてきて…… ………刹那 感じ取る殺意 何かが……自分の、肩の付け根辺りを狙って、向かってくる 「っ!!」 っば!と 少女は身を翻し、その攻撃をかわした 一瞬前まで少女がいたそこを、鋭い刃物が通り過ぎた 東南系の顔立ちをした男が、舌打ちする 「ちょっと!避けられてんじゃないわよ!」 いらだったように、その男に声をかける、女の声 男の後方に、ジャラジャラとした装飾品に身を包んだ、けばけばしい化粧と服装の女が立っていた 俗に言う、お水系と言うかそんな感じの服装だ 「何よ、おばさん。いたいけな小学生襲うなんて、犯罪なんじゃない?」 …うん、弱そうだ 少女は、そう判断した 逃げるのではなく、戦おうと決める 少女のおばさん発言に、ピキ、と女は怒りを隠そうとしない 「きぃいいいい!!ちょっと、こんな生意気なガキ、さっさと片付けちゃいなさいよ!」 「ワカッタ」 片言の日本語で、男は答えた 手に持つ獲物はナイフ それで、少女に襲い掛かる! 「赤い靴履いてた女の子 異人さんに連れていかれちゃった」 慌てずに、少女は歌う その男に対抗するために 己が契約する都市伝説を呼び出す歌を 己が契約する都市伝説の力を、解放する歌を 「!?」 が!と 具現化した赤い靴が、目にも止まらぬスピードで襲い掛かってきていた男の攻撃を受け止めた ぐぐぐぐ……と、力で相手を押さえ込む 「……っち、相手はババアか」 「だからって、ヤル気なくさないでよ」 赤い靴が本領を発揮できるのは、幼女相手のみ(ただし、ある意味暴走確立もあがる) だが…純粋な腕力とて、充分、人間離れしているのである この程度の相手を押さえつけるくらいは、簡単だ 「キサマ……っ!?」 「『手首ごと盗んでいく泥棒』みたいだな。肩ごとバックを奪うつもりだったのか」 赤い靴が呟いた言葉に、少女はなるほど、と思った 自分が肩から下げる、この鞄 これを狙った訳か 『手首ごと盗んでいく泥棒』 東南アジアだかのどこぞの国で、手首を切って、手首ごと高級時計を盗んでいく泥棒の話がある アメリカでも、手首を切ってそれごと指輪を盗むマフィアの話があったような …その能力の応用で、肩ごとバックを盗むつもりだったのだろう ……まぁ、気配を察知された時点で、既に落第だが 「なぁに?オバサン、このバックが欲しいわけ?」 ひらひらと、少女はバックを相手の女に見せびらかすようにして見せた 女は、怒りを隠そうともせずに睨みつけてくる 「そうよ、そんな高級ブランドバック、がきんちょには勿体無いわ!」 「っは!この程度の物も手に入れる事ができない貧乏人の、負け犬の遠吠えね」 ふふん、と鼻で笑ってみせる ますます、女は激昂したようだった 赤く靴に押さえ込まれている手首泥棒に怒鳴る 「ちょっと!さっさとそんな奴、やっつけちゃいなさいよ!」 「無駄よ。赤い靴は、一応仮にも時として、結構強いんだから」 すたすたと 少女は、女に近寄っていく 恐れなど、ない 相手は、自分たちよりも格下だ 恐れを抱く必要などない そんなもの、抱いてしまったら…その時点で、負けだ すたすたと、少女は赤い靴と手首泥棒の横を通り抜け、女に近づいてく 手首泥棒は少女を止めようとするが…赤い靴に押さえ込まれ、それを実行できない 「…糞餓鬼が!舐めるんじゃないわよ!」 すらり 女は持っていたブランドバック(もっとも、少女が遠目から見てもわかるようなニセブランド物だが)からナイフを取り出した ……しかし 「遅いのよ」 「-------!?」 次の瞬間には 少女が、そのナイフを蹴り上げていた ぽ~ん、と宙に放り出されたナイフ カランっ!と落ちて音を立てる 「な…」 「あたしが契約したのは、『赤い靴』。その主な能力は、相手をどこかに連れ去る事」 でもね、と 少女は、意地悪く意地悪く……笑って見せた 「それだけじゃあないのよっ!!」 っが!!と 少女の蹴りが、女の脇腹に命中した みし、と嫌な音が響く 「---っが!?」 予想外の衝撃に、女は倒れこんだ …馬鹿な!? こんな、小学校低学年にしか見えない餓鬼の……どこに、こんな力が…!? 「もう一つ、単純で……でも、とっても便利な力」 にやぁり、少女は笑って とんとん、っと履いている赤い靴で、アルファルトを叩く 「あたしも、赤い靴の力を使えるって事、わかるぅ?」 そう、それはとっても単純で 漫画やらライトノベルやらでよくありそうな、陳腐な力 「あたしの今の身体能力は、『赤い靴』と同等なのよ。わかるぅ?頭悪そうなオバサン」 「………!!??」 …そう 外見は、少女そのもののまま しかし、その身体能力は …そこで、手首泥棒を押さえつけている『赤い靴』の身体能力、そのもの その、身体能力から繰り出す攻撃を ただの人間に過ぎない女が、受け止めきれるものか? 「じゃあねぇ。ばいばい」 っが!!と 少女は、倒れこんだ女に容赦なく蹴りを繰り出す がぼ、と口から胃液を吐き出す女 少女は、何度も何度も、蹴りを入れて 「お~い、もう終わったぞ」 「……あら、そう?」 と、契約主が気絶したために、力を失った手首泥棒を倒した赤い靴に声をかけられるまで その攻撃を、止めようとはしなかったのだった 「…あぁ、すっきりした」 ぐぐぅ、と車の後部座席で背伸びする少女 運動して疲れたので、家に迎えの車を用意させた そこで、のんびりと体を休める 赤い靴も、傍にいるが…運転手には、見えていない (そうよ、やっぱり、私たちはやればできるんだわ) このところの連敗で、自信を失いかけていた …しかし 自分たちだって、やればできるのだ 他の都市伝説に、負けてばかりではない 自分たちは、こんなにも強いではないか!! (赤い靴、あたしはこのゲーム、まだ降りないわよ) 「わかってる。まぁ、素敵な幼女にめぐり合えるチャンスがある限り、付き合うさ」 めぐり合えても、想いが通じる事は絶対無い 心の中でそう思いつつも、とりあえず突っ込む事はせず 少女は、後部座席に身を沈めたまま、静かに眠りについたのだった 「……ヤレヤレ」 眠ってしまった己の契約者の姿に、赤い靴は小さくため息をついた 眠っている様子は、可愛げがあるのだが 普段のあのワガママ態度ときたら 普段の生活を見るに、親も周囲も甘やかし放題、あの恵まれきった環境では仕方ないかもしれないが… 「ま、ゲームから降りる気が起きるまで、こっちは付き合うまでか」 契約者を護る それが、ロリであればなおさらのこと いつか、この契約者は成長し、ロリではなくなるだろうが、まぁ仕方ない ババアに興味はないが…ババアがいないと、新たなロリが生まれないのだから 赤い靴は、もふもふと、眠っている己の契約者の頭を、静かに撫でてやったのだった それがどんな出会いだったか 貴方は覚えていますか? それがどんな出会いだったか 私は、覚えています 貴方にとっては、覚えておくに越したことないであったとしても それは、私にとっては宝石のような輝きを持っていたのです Red Cape 前ページ連載 - 赤い靴